大分断というPHPのエマニュエル・トッドの本を読みました。
印象に残ったのが絶対値による会話分析法というものです。
それは人が何について話をしているのかということを分析するという手法です。
例えば野球チームの巨人が好きという人は巨人の話をしています。
反対に巨人が嫌いという人も巨人の話をしています。
この人たちの関心は巨人なわけです。
そして「人々が口にすることと全く反対の内容が、しばしば真実である。」
と言っています。
つまり、今テレワークやジョブ型雇用、成果による評価が
マスコミで喧伝されています。
しかし、これらは一時的な流行で、日本の大多数のサラリーマンはそんなもの望んでいないのかもしれません。
1960年の所得倍増計画でもこんなことが言われています。
労務管理体制の変化は、賃金、雇用の企業別封鎖性をこえて、同一労働同一賃金原則の浸透、労働移動の円滑化をもたらし、労働組合の組織も産業別あるいは地域別のものとなる1つの条件が生まれてくるであろう。
「人事の成り立ち」 海老原嗣生、荻野進介より引用
今から60年前でも日本の年功序列的な人事制度は批判されています。
今まであまり変わってこなかったというの実情です。
日立が年功序列を廃止というニュースは2014年です。
しかしそれでも適用範囲は管理職だけです。
ジョブ型に移行するといってるのがグローバル企業で
必要に迫られてということでしょう。
働き方改革はちょっと前まで流行っていましたが、
その前はワークライフバランスという言葉が使われていました。
2007年にはワークライフバランス憲章なるものが制定されています。
関係者が果たすべき役割でこんなところがあります。
(1)企業とそこで働く者は、協調して生産性の向上に努めつつ、職場の意識や職場風土の改革とあわせ働き方の改革に自主的に取り組む。
結局働き方改革はずいぶん前から言われていましたが、
企業は変わっていないのです。
だからなんだかんだいって日本人は日本型の雇用が好きなのかもしれません。
逆にメディアが日本型雇用を礼賛し始めたら、
ついに日本型雇用も終わりなのかもしれません。